| 今回はソーシャルワーカーが主人公の小説の紹介です。 | 
                 
                
                   
                   
                  
                    
                      
                        
                        
                        
                              
                              山田宗樹『人は、永遠に輝く星にはなれない』小学館、2008年
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                        内容 
                         
                         「医療相談室」-そこは、生・老・病・死がせめぎあう所。 
                         頚髄を損傷し、自暴自棄からリハビリを拒否し続ける男性入院患者。幼い息子の医療費免除をヒステリックに訴える母親。何不自由ない暮らしに不安を覚え、通院を繰り返す老女。半身麻痺の夫の退院を拒む裕福な妻。本名も年齢も語ろうとしないインテリ風のホームレス。突然のガン宣告を受けたあと、一度だけその部屋を訪れた独身のキャリアウーマン…。 
                         そして、またひとりのクライアントがこの部屋を訪れる。西原寛治、87歳。医療ソーシャルワーカー・猪口千夏は、枯れてなお狂おしいまでに燃え続ける、人生最後の命の明滅を見つめることになる。
                         
                         
                         
                        感想 
                         
                         この本は現役ワーカーの実体験に基づいたものではなく、『嫌われ松子の一生』や『ゴールデンタイム』を書いた山田宗樹氏が、熱心な取材を基にして書いた小説です。それも主人公が医療ソーシャルワーカーとくれば、読まないわけにはいきません。 
                         ベテランの医療ソーシャルワーカー猪口千夏は、忙しい日常業務のなかで一人の高齢者西原さんと出会います。彼の生活の質を高めるために彼女が行ったこと(内容は秘密)は、かなり意表を突くものでしたが、87歳の男性に対してはそんな支援もありかなと思わせる展開でした。 
                         また、西原さんの認知機能が徐々に崩壊していく部分の描写は、とてもリアルで印象に残ります。そういえば、『嫌われ松子の一生』でも松子の死に際の心理描写が妙にリアルでした。 
                         そしてワーカー業務だけではなく、私生活も細かく描いています。先日共同研究者とこの本の話をしていて、「保正さんと同じくらいの年代の女性だから、共感する部分もあるでしょう」という話になり、「あるある、私もこんなふうにしていた」とひとしきり話した後、「それにしても主人公の食生活はお粗末だよね。相談室で夕食にコンビニ弁当を食べるだけなんて。僕でももっと良いものを食べるよ」と仰っていました。その時は何も言いませんでしたが、私もそんな食生活を送っていたワーカー時代がありました…。 
                         そんなこんなで、関係者にはぜひ一読をお勧めします。 
                          
                         
                        
                         
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